小教理問答書

マルティン・ルター博士による

十戒

十戒

十戒について

家の主人がその家に属する者たちに対して単純に教えなければならない場合の説明の仕方は、以下の通りです。

第一の戒め

あなたには、他の神々があってはなりません。

(出エジプト記20章3節、ドイツ語版)

これは、どういうことですか? 答え。私たちは、何ものにもまして、神様をこそ、畏怖し、愛し、信頼するべきです。

第二の戒め

あなたは、あなたの神様の御名を空しく唱えてはいけません。

(出エジプト記20章7節、ドイツ語版)

これは、どういうことですか? 答え。私たちは、神様を畏れ、愛するべきです。ですから、私たちは、この方の御名によって、呪ったり、誓ったり、魔術を行なったり、嘘をついたり、だましたりしないで、むしろ、どのような困難の中にあっても、御名を呼び求め、祈り、ほめたたえ、感謝するのです。

第三の戒め

あなたは、安息日を聖とするべきです。

(出エジプト20章8節、ドイツ語版)

これは、どういうことですか? 答え。私たちは、神様を畏れ、愛するべきです。ですから、私たちは、説教と神様の御言葉を軽んじないで、むしろ、これを聖なるものとして大切にして、喜んで聴き、学ぶのです。

第四の戒め

あなたは、あなたの父親とあなたの母親を敬うべきです。

(出エジプト記20章12節、ドイツ語版)

これは、どういうことですか? 答え。私たちは、神様を畏れ、愛するべきです。ですから、私たちは、私たちの両親や主人を軽んじたり、怒らせたりしないで、むしろ、その人々を尊敬の対象とし、彼らに仕え、従い、彼らを愛し、彼らに敬意を払うのです。

第五の戒め

あなたは、殺してはいけません。

(出エジプト記20章13節、ドイツ語版)

これは、どういうことですか? 答え。私たちは、神様を畏れ、愛するべきです。ですから、私たちは、私たちの隣り人の命に 損傷を負わせたり、苦痛を与えたりしないで、むしろ、命に関わるあらゆる困難の際にその人を助け、支援するのです。

第六の戒め

あなたは、姦淫してはいけません。

(出エジプト記20章14節、ドイツ語版)

これは、どういうことですか? 答え。私たちは、神様を畏れ、愛するべきです。ですから、私たちは、言葉においても、行いにおいても、純潔かつ貞淑に生活し、また夫婦はめいめいが相手を愛し、敬うのです。

第七の戒め

あなたは、盗んではいけません。

(出エジプト記20章15節、ドイツ語版)

これは、どういうことですか? 答え。私たちは、神様を畏れ、愛するべきです。ですから、私たちは、私たちの隣り人のお金や持ち物を奪ったり、また不正な資産 や取引によって横領したりしないで、むしろ、その人の財産や生計を助けて、改善し、守るのです。

第八の戒め

あなたは、あなたの隣り人に関して偽証してはいけません。

(出エジプト記20章16節、ドイツ語版)

これは、どういうことですか? 答え。私たちは、神様を畏れ、愛するべきです。ですから、私たちは、私たちの隣り人に対して偽りの証言をしたり、裏切ったり、誹謗したり、あるいは悪い評判を立てたりしないで、むしろ、その人を弁護し、その人についてよいことを語り、すべてを善意をもって考えてゆくのです。

第九の戒め

あなたは、あなたの隣り人の家を欲してはいけません。

(出エジプト記20章17節前半、ドイツ語版)

これは、どういうことですか? 答え。私たちは、神様を畏れ、愛するべきです。ですから、私たちは、隣り人の遺産や家を、悪いたくらみをもってねらったり、あるいは、合法性を装ってそれを自分のものとして横領したりなどしないで、むしろ、その人が自分のものを保つことができるように、促進し、意を尽くすのです。

第十の戒め

あなたは、隣り人の妻、男女の奴隷、牛、ろばなど隣り人のものを一切欲してはいけません。

(出エジプト記20章17節後半、ドイツ語版)

これは、どういうことですか? 答え。私たちは、神様を畏れ、愛するべきです。ですから、私たちは、私たちの隣り人の妻やしもべ、家畜を言葉巧みに手に入れたり、ゆすり取ったり、背かせたりしないで、むしろ、彼らが(自分の立場に)留まって、そのなすべき務めを果たすように促すのです。

神様は、これらすべての戒めについて、何と言われますか?

答え。神様は次のように言われます。

「私は主、あなたの神です。私は熱情の神です。私を憎む者の上には、父祖の罪の災いが、その子孫に三代、四代にまでも降りかかります。しかし、私を愛し私の戒めを守る者たちに対しては、その千代にもわたって私は善き業を行います 。」 (出エジプト記20章5節後半~6節、ドイツ語版)

これは、どういうことですか? 答え。神様は、これらの戒めを足蹴にするすべての人を罰する、と脅しておられます。ですから、私たちは神様の怒りを恐れるべきなのであって、これらの戒めに背くべきではありません。しかし、神様は、これらの戒めを守るすべての人々に対して、恵みとあらゆる善いことを約束されています。それゆえ、私たちもまた、神様を愛し、信頼し、神様の戒めに従って喜んで行動するべきなのです。